馬場 仙八 (RPテック シニア・リサーチャー)
 
 
「日本国債を巡る内外論争」
(2009年12月21日)
 

最近の10年国債の利回りは1.2%台といううんざりするような低金利が続いて いますが、最近の海外紙、特に英FT紙上などでは日本国債価格の暴落がいつま で回避されることが出来るのかという議論が盛んに行われています。

議論が噴出する原因はいくつかあります。

まず民主党に政権が交代して結果、日本の財政赤字が少なくとも当面は大き く拡大する見通しが強くなったこと。

もうひとつは、「空売り」戦略で有名な米国のヘッジファンド運用者デービッ ド・アイホーン氏が、日本国債の暴落の可能性に備えてオプションを購入して いるというニュースが伝えられるなど、カリスマ投資家たちからも「日本国債 売り」の見方が増えているからです。

アイホーン氏は10月末に「日本が政府のデフォルトかハイパーインフレ的な 為替循環を逃れる道があるとは思えない」と発言したと伝えられています。

確かに、GDPの200%に迫ろうとしている国債の発行残高は、主要国の中で突 出した悪さです。そのような状況にもかかわらず、財政赤字削減への気迫に乏 しい日本の政治家を見ていると、海外からの懸念は良くわかります。

アイホーン氏の発言に勇気付けられ(?)て、10月の末から11月のはじめに かけて多くの外人投資家が日本国債の空売りポジションを作り、10年債の利回 りは一時1.5%に接近するほど上昇しました。

ところが、その後国債は急速に買い戻され、利回りは1.2%台にまで低下しま した。空売りをしていた外人勢は高値で買戻しを余儀なくされ、大きな損失を だしました。(市場ではこういう構図を「踏み上げ」と呼びます)

実は外国人が日本国債の空売りに挑み、踏み上げられるという構図は、過去 15年ほどの間に何度も繰り返されてきた事態であり、国債市場の関係者は「ま たか」と思ったことでしょう。

日本国債は発行残高の95%が国内の投資家によって保有され、このような外 人の思いつき戦略ではなかなか売り崩すことができないのです。国内の多くの 投資家には10年の国債金利は2%を超えることがないという、ほとんど宗教がか った信念があります。

FT紙に話題を戻しますと、暴落はないと安心する国内投資家と暴落のチャン スを窺う「ガイジン」の構図がいったいどこまで持続可能なのか?ということ がテーマになっています。

FT紙は「これまでのところ国内投資家は(日本国債の暴落はないと)自信満々」 と表現していますが、一方でかつてない規模に膨れあがる政府の財政赤字を考 慮すれば「邦銀の購入意欲も限界」という外人アナリストの意見も紹介してい ます。

国債の価格が崩れる見込みは当面はなさそうですが、来年は国内投資家の買 い支えという構図が本当に持続可能なのか試される一年になりそうです。

皆さんはいかがお考えでしょうか?

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